丁度小学校高学年の頃であろうか、TVの相撲中継では
「千代の富士」が
無敵を誇り全盛を極めていた。
その王者に立ち向かう大関がいた。身体は小さく、決して目立つわけでは
ないのだが、その果敢な姿勢に何か心に響くものを感じた。
千代の富士に勝った姿は私の記憶では既に無いのだが、一度だけ勝った
ことがあるらしい。
「霧島」この人である。
この四股名にピンと来る方もいると思うが、今は両国でちゃんこ屋を営んで
いるとのことなので行ってみることにした。(去年の忘年会に使わせて頂いた)
両国国技館の反対方向の改札から出て、大通りのすぐ向かいにちゃんこ屋
「霧島」は悠然と店を構えている。
店前に書かれている提灯にはでかでかと独特の字体で「霧島」とかかれて
おり当時の勇猛さを想起させてくれる。
予約客の名前を店前に貼りつけてくれるのも幹事としては心憎い演出に感謝
すべき点であろうか。
店は5~6階くらいで、忘年会のシーズンもあってか、全席客でうめつくされて
おり、
流行っている店独特の賑やかさがあった。
我々は地下に案内されたが、至る所に霧島の写真やグッズ、表彰が処狭しと
飾られていた。
それらを見て当時の勇士を思いを馳せながら名物ちゃんこを待つのである。
満を持して登場したそのちゃんこは塩ベースのあっさり系で、具沢山。
ホタテの貝殻にのってやってくるツミレは仲居さんがその場でこねて団子に
して入れてくれるのだ。
魚、野菜、肉等から出た出汁は口当たりもよく、新鮮な野菜はホクホクとした
食感を保ち、ちょっと濃い味付けのツミレとの相性も抜群であった。
なんせ、出汁がうまい!
私のこのベタな表現では上手く伝えられないのが非常に歯痒くあるが、飽きの
来ないこの出汁は見事としかいいようがないのである。
その見事な出汁で締めのぞうすいを作るのだから、これはもう満足度K点越え
は言わずもがなか!
満足と懐古で満たされた腹をさすりながら、片付けをしてくれている仲居さん
に語りかける。
「霧島っていい力士でしたよね~」
「あっ私あんまり知りませんから」
決まり手は押出し!
☆3つ!
※霧島には会えず・・・