眼力という言葉がある。
千里眼といった予知的な能力や、人を魅了するような眼のことも
眼力とでもいうのか。
神田駅近辺にある「旭軒」
いわゆるとんかつ屋なのだがここに眼力を持つおばちゃんがおり、
昼時飯屋を探しているとなぜかこのおばちゃんと目が合うのである。
目が合ったら最期、何かに引き寄せられるかのように店に入って
しまうのだ。昨日カツを食べていてもそうなるから不思議。
これはひとえにおばちゃんの眼力であると私は思う。
引き込まれる何かがあるのだ。
店内も広くはないながらも狭さを感じさせないテーブルの配置、
カウンターに並べられた丸々としたキャベツ達。
店内にほのかに漂うラードの香り。
店に入ってからも私を魅了する要素をもつこの店の店主は
がちんこラーメン道の佐野実にクリソツなのである!
ひたすらに喋るおばちゃんをよそに寡黙にカツを揚げる店主の
この二人のシンメトリックさに安らぎすら覚えるのである。
今日は給料日ちょっと豪勢にロースカツでも頼んでみるか。
おばちゃんの活きのいい声が店内と私の心に響くのであった。
☆3つ!