電車の窓越しに見える景色はすっかり冬模様となり、
山梨県に入ったとたんに地面はまばらにあたかも宝石箱
のようにきらきらと白い斑点を散りばめていく。
頬をなでる冬風はそっと私の体温を攫っていき、
自然に
温かい汁物を予感させるである。
商談をすばやく終わらせ、取引先の兄やんと訪れたのは
食事処「しんとみ」ほうとう専門店である。
TVや雑誌でよく見るこの「ほうとう」
私も食すのは初めてなのだが、どういうものかと言うと
数多くの野菜類、カボチャ、じゃが芋、里芋、白菜、
ねぎ、ごぼう、にんじん、しいたけ等を味噌でうどんの
ような平麺と煮込んだもので、本来は中国より伝来した
ものらしいのである。「饂飩(はくたく)」が語源とのこと。
かの武将、
武田信玄が野戦食として用いていたから
侮れない。
(ちなみに店のおばちゃんはこの意味を知らない)
味は白味噌がベースとなっており、上記のような野菜
がぶつ切りで入っており、見るものを圧倒させる。
特にかぼちゃは非常に甘く、ほうとうと一緒に食べると
口の中に
美味という名の幸せが広がるのだ。
あつあつの汁を一気に飲み干し、身体は芯から温まり
まさに
心を取り戻すのである。
勢いに乗った二人はほうとうに加えてカキフライ、カツ煮丼
を平らげ、帰りの電車で満たされた腹を優しく撫でながら
爆睡するのである。
あぁ素晴らしき放蕩営業!
☆3つ!